オクターブ下の掃き溜めから

皆様のお花を摘む時の暇つぶしになれれば幸せな便所の落書きです。

再録「アメリカンスナイパー」


ダーツバー。

言わずと知れた、大人のかっこいいレジャー施設である。

あまりにもかっこ良過ぎて、足繁く通っているとかえってかっこよくなくなってしまう程である。

かくいう俺も一時期猛烈にダーツにハマった。

「ビリヤードの王子様」

の異名を欲しいままにしていた。

ダーツバーにはビリヤードもあるのだ。

何故って?

かっこいいからである。



ダーツ自体はまあ並の実力で、その頃は上手い=かっこいいと思っていたので俺は足繁くダーツバーに通って腕を磨いていた。

そんなある日のこと。

その日は雨が降っていて、知らない人とお酒を飲みつつダーツに励んで色んなものに酔っていた。

俺は雨ってなんかかっこいいよね!とか思いつつ、半身でかっこよく構えてダーツを投げていた。

そこへ、身長2mはある、ヒゲにスキンヘッドにタトゥー、グラサン、更に革ジャンを羽織ったゴリゴリのいかつい外国人が来店して来た。

彼は余程酔っていたらしく、フラフラしていた。
暫くバーの中をうろうろしたかと思うと、何故か俺の席まで千鳥足でやってきた。

彼は無言でダーツを投げるジェスチャーをした後、自分を指差した。

「俺と勝負しようぜ」

と言いたいんだろうと判断したので、彼の挑戦に受けて立つことにした。

結論から言うと、ボロ勝ちした。
彼は何故挑んできたんだと思うレベルのド下手であった。

そしてふと、こんなゴツい人をけちょんけちょんにしてしまったら無慈悲な報復が待っているのではと恐怖心が湧いてきた。

俺が拙い英語でなんとかフォローしようとしたその時。

彼は俺に人差し指を向けた。

キルユーとか言われるんじゃないかとドキドキした。

そしてそのままの体制で2~3秒溜めて、衝撃の言葉が放たれた。

「ジブン、メッチャダーツウマイヤン。」

それはもう流暢な関西弁で。

お前の日本語の方が上手いわ!!!!






そんな感じで仲良くなったマイク(仮名)が、先日オーストラリアで逮捕されたので
ふと彼との出会いを思い出してここに綴ることにした次第である。